なぜ家をつくるのか?

2011.09.30

「あなたはどうして家をつくっているのですか?」よく聞かれます。「仕事ですから」などとは、間違っても言いません。少しだけ私の生い立ちの話を聞いてください。私は、高校を卒業するくらいまで、長屋暮らしでした。小学校1年の時に父親が商売で失敗し、蒸発しました。借金取りから逃げるためにリアカーで5回ほど引越しを繰り返したことも、今ではよい思い出です。別に苦労話を聞いて欲しいわけではありません。長屋暮らしもそれなりに楽しいものでした。そんな暮らしをしてきたからこそ、今の自分もあるのでしょう。時代は変わり、長屋はアパートへと形を変え、めったに見かけなくなりました。いつも議論になるのが、「アパートではいけないのか?」「なぜ、借金までして戸建てを持たなければいけないのか?」ということです。アパートではいけない、子供が悪く育つ、そんなことはまったくありません。しかし、子供を育てる環境が将来を左右するのは、間違いないと思います。環境とはなんでしょうか?私は「教育環境」だと思います。子供に残してやるものは、家や財産ではなく、教育です。お父さんは、一生懸命働いて手に入れた家で、家族を守る姿を見せる。お母さんは、家族の空腹を満たし、かけがえのない愛情を伝える姿を見せる。これ以上の教育はないと思います。子供にとって親の後姿ほど、影響を受けるものはありません。家づくりは住宅産業といいます。しかし、私は、家づくりは生命産業だと思います。父親は外で戦い、母親は家で子供を守る。そして教育し、心豊かに育てていく。そのための棲家が家なのです。

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