エレベーターに関しては、輸送能力が限られるということ以外に、もう一つやっかいな問題がある。建築基準法施行令に、エレベーターに出入口が二ヵ所以上あってはいけないという規定があるために、設置できる場所が非常に制約されている。しかも車いすについては、前から車いすで入って上の階でそのまま前進して出るということができず、中で向きを変えるか、後ろ向きに出入りするしかなく、不便を強いていることにもなる。現実にエレベーターが設置されている場面では、上に昇ってそのまま前向きに移動するのが進行方向であることが少なくなく、この場合は入ったときと出るときとでドアが逆のほうがかえって自然なのである。そうでないと、後ろにまわり込むためにエレベーターロビーにスペースが余計に必要になったりする。先日あるところで話をしていて、鉄道関係者もこのタイプのエレベーターを切望しているということがわかった。これさえあれば、もっとプラットホームにエレベーターをつけられると言われたという。駅舎は建築基準法の適用が除外されているのだが、メーカーがつくっていなければ手の打ちようがない。あるいはここだけは、運輸省でも建設省の無用なお節介を追認しているのかも知れない。また、エレベーターを止めたい階と階とのレベルの差がほんの一メートル程度しかない場合には(上下の階のドアがつく場所が重なってしまうので)、ドアを別の壁につけるしか方法がない。公団の四階建てアパートなど、階段を五段くらい昇って一階に入る住宅では、このタイプのエレベーターがないと、地面から一階までの長いスロープを用意しないと車いすに対応できない。逆に、積極的に左右の住戸を半階分ずつずらすスキップフロアも、このエレベーターがあればバリアフリーとして計画可能になる。海外では、ドアが二方向にあるエレベーターは、ロンドンの地下鉄などではごく一般的であるし、小さな近代的ホテルでも見かけることがある。また、あとから設置する場合に大きく威力を発揮している。計画に際して、出入りの方向の制約がかなり軽減されるからである。
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