〇五年一月二九日、Sさんは建て替え決議に関する説明会でコスモスの事業者としての適性について質問をした。が、まったく関心を示されなかった。流れが一方向に傾く怖さを感じた。正常な議論が通用しない。人を色限鏡で見る。多数が正義とまかり通る、小さな全体主義が頭をもたげていた。一方で、総会に出席できない住民の委任状と議決権行使は、管理会社理事会に続々と届いていた。「一票」にこめた思いは、民主主義の屋台骨を支える。
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最大限に尊重されなければならない。まして団地と住民の将来を決する意思表示となればなおさらだ。ところが、目を疑うばかりの光景がくりひろげられる。建て替え派の理事の目の前で、コスモスの顧問弁護士が、送られてきた議決権行使書と委任状を開封したのである。法的には、確かに検閲まがいの行為も弁護士が立ち会えば許される。弁護士を「公正な第三者」とみて、このような解釈が成り立っている。コスモスの顧問弁護士は書類に不備がないかチェックした、誤記や記入漏れがあれば、書き直してもらうために封を開いた、という。しかし理事しかいない密室で開封は行なわれている。個々の住民の意思が確かめられたら、建て替え派はどのような行動をとるか……。